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飲酒者における心房細動では、断酒すると心房細動再発が防げるのか Alcohol Abstinence in Drinkers with Atrial Fibrillation

 正常の心房は一分間に60-100回くらいで規則正しく収縮していますが、心房細動になると不規則で細かく震えるように沢山収縮するようになります。心房細動に罹患している人は世界中で3,300万人以上いるといわれます。動悸といった症状も問題ですが、心房細動では心房内に血栓ができやすくなり、血栓が心臓から脳に飛んで脳梗塞を引き起こすことが大きな問題です。

 心房細動が発症する原因の一つとして飲酒が知られています。アルコールの摂取量が多くなると心房細動になりやすく、週に7杯程度の飲酒で心房細動のリスクが上昇すると報告されています(1杯はアルコール12g=5%のビールで240ml)。つまり、350mlの缶ビールを毎日飲む人は、心房細動のリスクが高いということになります。

 心房細動患者でアルコールの摂取量を減らすと、心房細動の再発が防げるのかを示した前向きの無作為化対照試験は今までにありませんでした。そこで、今回紹介する研究が実施されました。

 本研究では、試験参加前に週に平均約17杯のアルコールを摂取していた心房細動患者が参加しました。心房細動の治療後、断酒することで心房細動の再発率が73%から53%に減少し、再発までの期間が延長されました。

 

N Engl J Med 2020; 382 : 20 – 8.

背景

アルコールを摂取し過ぎると心房細動が発症しやすくなり、また有害な心房リモデリングと関連する。しかし、心房細動の二次予防に断酒が有効かは明らかではない。

方法

オーストラリアにある6つの病院で多施設前向き非盲検無作為化対照試験を行った.飲酒量が週10杯以上(1杯の基準量は純アルコールを約12g含む)で、発作性心房細動または持続性心房細動を有し,ベースラインで洞調律であった成人を、断酒する群と飲酒を通常通り継続する群に無作為に1:1で割り付けた。主要評価項目は2つあり、6か月の追跡期間中の、心房細動の無再発期間(2週間の“ブランキング期間”の後)と、心房細動の総負荷(心房細動の状態にあった時間の割合)とした。

結果

無作為化された140例(男性が85%; 平均年齢[±SD], 62±9歳)のうち、70例が断酒群、70 例が対照群に割り付けられた。断酒群では1週間の飲酒量が16.8±7.7杯から2.1±3.7杯に減少し(87.5%減少)、対照群では16.4±6.9杯から13.2±6.5杯に減少した(19.5%減少)。2週間のブランキング期間の後、断酒群で70例中37例(53%)、対照群で70例中51例(73%)が心房細動を再発した。心房細動再発までの期間は断酒群の方が対照群よりも長かった(ハザード比, 0.55; 95%信頼区間, 0.36~0.84; P=0.005)。6ヵ月の追跡期間中の心房細動の負荷は、断酒群の方が対照群よりも有意に低かった(心房細動状態であった時間の割合の中央値, 0.5%[四分位範囲, 0.0~3.0]対1.2%[四分位範囲, 0.0~10.3]; P=0.01)。

結論

心房細動をもつアルコール常飲者では、断酒することにより不整脈の再発が減少した。(ビクトリア州政府の運営基盤サポートプログラムなどから資金提供あり;Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12616000256471)