肺がん

肺がんとは

肺がんとは

日本で最も多い死因は「がん」であり、その中でも最も死亡者数が多いのが「肺がん」です。男性では肺がんによる死亡が最も多く、女性では大腸がんに次いで2番目です。

ただし、肺がんと一口に言っても、症状や治療法は多岐にわたります。がん細胞の形や場所、発見時の進行度、患者さんの体力や治療への反応など、様々な要素を考慮しながら治療法を選択します。治療中や治療後の生活についても、十分に検討する必要があります。

進行した肺がんの治療では、がん薬物療法が主になりますが、完全に治す薬はまだ開発されていません。そのため、肺がんは医学が進歩した現代でも早期に発見して手術するのが最も良い方法です。

がんは早期に見つけて早めに治療を始めることが大切です。適切な治療を早く受ければ、治癒の可能性が高まります。では、肺がんを早期発見するためにはどうすればいいでしょうか。その答えが、次に紹介する肺のCT検査です。

肺がんの早期発見にCT検査

肺がんの早期発見にCT検査

肺がんを見つけるために最も効果的な検査法はCTです。CTでは肺を100枚から200枚の断層写真にするため、胸部X線写真と違って、肺が心臓や骨に重なることもありません。そのため、大きさが5mm程度の小さな肺がんを見つけることも可能です。

呼吸器・肺の病気は自覚症状がなく、本人が気づいたときにはかなり進行していることが珍しくありません。当院では呼吸器内科専門のクリニックとして、呼吸機能・肺機能をしっかりと検査できる体制を整えています。

呼吸器系疾患の発症に不安がある方は、一度、当院の肺検診(肺ドック)をご検討ください。

肺がんはレントゲン検査では見つけられない?

一般的に行われている住民健診などで使用される肺のX線写真は、肺全体を1枚の写真に収めます。X線写真を撮影する際には、背面からX線が照射され、様々な密度を持つ臓器を通過します。

具体的には、背面の皮膚、皮下脂肪、筋肉、骨、肺、血管、そして胸部の骨、脂肪、皮膚を通過し、最終的に写真として現れます。このため、1枚の写真には複数の臓器が重なり合って映り、診断が難しくなります。

肺がんの見つけやすさは、できた場所によって異なります。例えば、1cm程度の小さな肺がんが骨や血管と重なってしまうと、X線写真では見つけにくくなります。同様に、3cm程度の肺がんでも心臓や肝臓の裏側にできると、X線写真で見つけられないことがあります。

肺がんの初期症状

肺がんは他のがんと同様に、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。症状が現れると、がんがすでに進行している可能性もあります。

肺がんが進行すると、咳、血痰、胸痛、息切れなどの症状が現れることがあります。ただし、これらの症状は肺がん以外でも起こる可能性があります。特定の症状が必ずしも肺がんを意味するわけではなく、「この症状があれば必ず肺がん」ということはありません。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することが重要です。

肺がんリスクをセルフチェックしましょう

  • タバコを吸っている
  • 65歳以上
  • 季節の変わり目に風邪をよくひく
  • 風邪が治っても咳が続く
  • 痰が絡むことが多い
  • 最近、体を動かすとすぐに息切れする など

呼吸器系の病気に不安がある方は、当院の「肺検診・肺ドック」をご検討ください。

肺がんの原因と病気の進行

肺がんの最も明確な原因はタバコです。タバコを吸わない人と比べると、喫煙者の肺がんリスクは男女ともに3倍以上高くなることが分かっています。また、タバコを吸っていなくても、タバコの煙を隣で吸う人のリスクも高まるため、家族など身近な人の健康にも影響を与える可能性があることを心に留めておきましょう。

肺がんを引き起こす最大の要因となる喫煙

タバコの煙にはたくさんの発がん物質が含まれています。これらの物質は、気管支粘膜や肺胞の細胞に吸収され、DNAにキズ(遺伝子変異)を引き起こします。通常、細胞は遺伝子変異を修復する機構を持っています。しかし、日常的に発がん物質にさらされると、遺伝子変異を修復しきれなくなります。

遺伝子変異が蓄積すると、細胞はがん細胞に変化します。がん細胞はブレーキが利かない車のように急速に増殖します。

生体内には、がん細胞を排除する免疫システムが存在します。白血球の一種であるリンパ球は、正常細胞とがん細胞を区別し、がん細胞だけを攻撃できる能力を持っています。これが免疫という働きです。

ほとんどのがん細胞は免疫によって排除されます。しかし、一部のがん細胞はリンパ球の攻撃をかわす仕組みを獲得し、攻撃を受けにくくなります。その結果、がん細胞は無防備に増殖し、がん(腫瘍)が発生します。

細胞が発がん物質にさらされる

細胞に遺伝子変異が蓄積

がん細胞が誕生

免疫系から攻撃を回避するがん細胞

がん細胞の増殖

がん(腫瘍)の形成

このような流れががん発生の過程とされています。

肺がんと関連がある肺の疾患

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 間質性肺炎 など

肺がんは、他の肺疾患とも関連があります。特にCOPDは、肺がんと同様に喫煙が最も重要な原因となる病気です。COPDと診断された方は、肺がんを併発しやすいため、定期的に肺がん検査を受けることが推奨されます。

肺がんの家族歴がある方

国立研究センターの研究によると、肺がんの家族歴の有無とその後の肺がん発症を調べたところ、家族歴のある方はリスクが高いことがわかっています。そのため、血縁者の中に肺がんの経験者がいる場合は、定期的に肺がん検査を受けることが大切です。

その他の発症原因となる環境要素

現在は製造が禁止されていますが、かつて断熱材や防音材として使用されていたアスベスト(石綿)や有害化学物質、PM2.5などの大気汚染も発がんのリスクとなります。

肺がんの予防

肺がんの予防には、まずは発がん物質を避けることが大切です。タバコを吸わないことはもちろんですが、他人が吸っているタバコの煙(受動喫煙、副流煙)も避けましょう。

タバコは肺がんのリスクを高める要因ですが、禁煙すれば5年後にはリスクが半分になり、10年後には非喫煙者と同程度になります。肺がんを避けるためには、早めの禁煙が重要です。

タバコ以外にも、大気汚染(PM2.5や車の排気ガスなど)にも注意が必要です。

他にもさまざまな原因が考えられますが、現代でも解明されていない発がん物質や原因があると考えられます。そのため、完全に肺がんを予防することは現時点では不可能です。

原因が明確な病気は、予防法も分かりやすいですが、がんのように原因が分かりにくい病気は予防する確かな方法が見つかりません。そのような病気から命を守るためには、早期に病気を発見し、早めに治療することが大切です。

40歳以上になったら毎年1回は肺の検診を

仙台市では40歳以上の方を対象に健康診断を行っています。この健康診断には、40歳以上の方には胸部X線写真が含まれており、50歳以上の喫煙者には喀痰細胞診も行われます。40歳になったら、毎年1回は肺の検診を受けることをお勧めします。

仙台市の肺がん検診は、市内在住の40歳以上で、職場などで健康診断を受ける機会がない方を対象にしています。しかし、この検診だけでは不十分な場合もあります。

40歳未満の方や、呼吸器の機能に関する詳しい検査を希望する方は、当院の肺検診・肺ドックを利用することができます。

  • 肺CT検査
  • 肺年齢検査
  • ぜん息検査(呼気NO測定)
  • 睡眠時無呼吸スクリーニング(夜間SpO2モニター)

など、肺がん以外の病気の早期発見に役立つ検査を受けることができます。さらに、肺がん腫瘍マーカーや内臓脂肪検査などのオプション検査も可能です。ぜひご利用ください。