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肺気腫と肺腫瘍の違い

 医師なら誰でも知っているこの2つの病気の違いがわかるでしょうか。医師としては常識的な医学用語なので、患者さんに病状説明するときに、何の事前説明なくこの病名を使ってしまいます。

 

 「あなたの病気は肺気腫です。タバコが原因です。」と説明すると、自分は肺に出来物(腫瘍、がん)ができたと思ってしまう患者さんが少なからずいます。

肺気腫と肺腫瘍の違い

 気腫と腫瘍にはどちらも“腫”というガンをイメージする文字が入っているからだと思います。“腫”とは元来「はれる」、「むくむ」、「できもの」を意味する漢字です。腫瘍に“腫”が使用されるのはよくわかるのですが、気腫に“腫”が使われるのはなぜでしょうか。

 

 ここからは想像になるのですが、最初の「気腫」は今で言うところの「皮下気腫」を示していたのではないかと思います。何らかの原因で肺から皮膚の直下(皮下)に空気が漏れると、首や顔の皮膚の下に空気が貯留します。その状態を皮下気腫と呼び、ひどいと顔や首がパンパンに腫れあがってしまうため、「はれる」「むくむ」を意味する“腫”にピッタリの状態です。

 肺気腫の患者さんのレントゲン写真をみると、肺に空気が異常に貯留しています(=過膨張と呼びます)。そのような肺を見た人が、気腫という言葉を思いついたのではないでしょうか。

 

 患者さんに病気を説明するとき、「COPD」という用語をつかうべきか、「肺気腫」をつかうべきか、それとも「慢性気管支炎」をつかうべきかでよく悩みます。現実的にはすべての用語を使って説明してみて、患者さんの顔をみて、理解してくれていそうな用語を選択します。