院長ブログ

肺CT検診のメリットとデメリット

CT検診のメリットは何といっても、胸部X線写真(胸部Xp)では発見できないような影をCTでは見つけることができることです。

 

胸部Xpは肺全体を1枚の写真でみるのに対し、CTは肺を約100枚にスライスして断層写真にします。CTでは情報量が単純計算で100倍、胸部Xpより見えるものが桁違いに多くなります。見えるものが多ければ、見つかるものも多くなるのは当然であり、小さな肺がんも見つかりやすくなります。

特に胸部XPでは心臓の裏、肋骨や血管と重なるところなど、死角になるところがあり、CTはその欠点を補ってくれます。胸部XPの死角にできた肺がんは数cmまで大きくなるまで 発見されません。CTでは5mmの肺がんでも見つけることはできます。

 

 

一方、CTのデメリットは見つかった影がどういう性質なのかはっきりということができないということです。

 

「CTでなんらかの影があります。肺がんの可能性が高いです。でも、手術してみたら、肺がんでなかったという最終診断になることもあります。」というような説明を今まで何百回と患者さんにしてきました。患者さんにとって手術するかしないかは一大事です。その決断を患者さんに任したことも少なくありません。

 

手術するのか、CTで経過観察するのか、CT画像だけで肺がんと分かれば手術を勧めるにしても強く勧めることができるのですが、肺がんか肺炎かどっちでも有り得るような影を示すことがよくあるのです。患者さんに結果説明をする前に結論がでず、患者さんに説明しながら、患者さんの反応、顔色をみて、患者さんと相談しながら方針を決定することもよくありました。

 

検査の感度は高いけれど、診断がつかないこともある。それがCT検査の弱点です。

その息切れはCOPDです