HOME > 院長ブログ > 院長による医学論文紹介 > 院長による論文紹介(喘息COPD) > 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、タバコを吸ったことがなくても、肺がんリスクが高い(Thorax誌より))

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、タバコを吸ったことがなくても、肺がんリスクが高い(Thorax誌より))

 COPD(慢性閉塞性肺疾患)は主に喫煙が原因となって気管支内腔が狭窄、閉塞し、年々進行していく病気です。タバコ煙が主な原因ですので、COPD発症の最大のリスクは喫煙です。

 そして、タバコが最大のリスク因子である病気に肺がんがあります。つまり、タバコが原因でCOPDと肺がんが発生するということは、COPDがあると肺がんのリスクが高くなることは容易に想像できます。

 それでは、タバコが原因ではないCOPDでも肺がんのリスクは高いのでしょうか。あまり多くはありませんが、非喫煙者でもCOPDが発生します。大気汚染や受動喫煙、職業性の粉じんなどが非喫煙者のCOPDの原因になり得ると考えられています。

 今回紹介する論文では、その疑問に答えるように非喫煙者COPDの肺がんリスクについて研究を行っています。

 「COPDなし喫煙なし」の肺がん発生リスクを1とすると、「COPDあり喫煙なし」の肺がんリスクは2.67、「COPDなし喫煙あり」は1.97、「COPDあり喫煙あり」は6.19でした。

 COPDがあれば、たとえ喫煙していなくても、肺がんのリスクは2.67倍と高いことがわかります。

View Full Text

要旨

非喫煙者における慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺がん発生率に関連があるかについて科学的証拠は限られている。 我々は、COPDをもつ非喫煙者における肺がん発生リスクを推定し、それと喫煙に関連するリスクと比較することを目的とした。

今回のコホート研究には、ベースラインで肺がんの既往がなく、国立健康保険サービスの全国サンプルコホートに登録されている40〜84歳の338,548人の被験者が含まれた。2,355,005人年の追跡期間(追跡期間中央値7.0年)において、1,834人の参加者が肺がんを発症した。

COPDをもたない非喫煙者と比較して、COPDをもつ非喫煙者、COPDをもたない喫煙者、COPDをもつ喫煙者における肺がんの完全調整ハザード比(95%CI)は、それぞれ2.67(2.09〜3.40)、1.97(1.75〜2.21)、6.19(5.04〜7.61)であった。

今回の大規模全国コホート研究では、COPDは非喫煙者における肺がん発生率の強力な独立リスク因子でもあり、喫煙状況に関係なくCOPD患者は肺がんリスクが高いことを示唆している。