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COPD(慢性閉塞性肺疾患)の3剤併用療法:系統的レビューとメタアナリシス

 COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療として吸入薬が現在の主流となっています。吸入薬には抗コリン薬(LAMA)とβ2刺激薬(LABA)、ステロイド薬(ICS)の3種類があり、医療業界ではLAMA、LABA、ICSと略語で呼ぶことが多くなっています。それぞれ単独でも治療効果がありますが、最近の話題は併用療法と合剤です。2つもしくは3つの薬を一つずつ吸入するのは面倒であり、患者さんも吸入を忘れがちになります。一つの薬の中にすべての薬が含まれていた方が、服薬遵守率が改善し、医療コストも下がります。最近、1回で3つの薬(LAMA、LABA、ICS)が吸入できる薬が、日本でも2種が相次いで発売され使用できるようになりました(GSK社のテリルジー®とAZ社のビレーズトリ®)。

 

 1つの研究や試験だけでは症例数に限りがあるため、研究毎に異なる結果がでてしまうことがあります。そこで、ある程度の数の研究が発表されるとメタアナリシスを行うことがあります。メタアナリシスは、同様の研究を多数集積解析して一つの結論を導き出すため、ガイドラインにおいて科学的根拠のレベルが最も高いとされています。

 

 今回紹介する論文では、LAMA+LABA+ICSの3剤併用療法と2剤もしくは単剤療法と比較した研究を21件集めてメタアナリシスを行っています。ただし、2剤または単剤との比較研究を集めており、少し複雑なメタアナリシスとなっています。つまり、LAMA+LABA+ICSの3剤とLAMAとの比較研究が10件、LAMA+LABAの2剤との比較研究が3件、LABA+ICSとの比較研究が11件、3剤合剤吸入と2剤+1剤吸入との比較研究が2件です。

 その結果、3剤併用療法により中等症から重症のCOPD増悪を減少することが確認されました。しかし、COPD患者の生存期間は延長せず、肺炎のリスクが上昇することより、重症のCOPD患者にのみ3剤併用療法は限定するべきであり、好酸球数や増悪既往歴なども参考にして適応を考えると結論しています。

BMJ. 2018; 363: k4388.

Published online 2018 Nov 6. doi: 10.1136/bmj.k4388

要旨

目的

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における中等度から重度の増悪率を、3剤併用療法と2剤または単剤療法で比較すること。

デザイン

無作為化対照試験の系統的レビューとメタアナリシス

データソース

PubMed、Embase、Cochraneデータベース、および登録された臨床試験を、当初から2018年4月まで検索した。

適格基準

COPD患者において3剤併用療法と2剤または単剤療法を比較したランダム化比較試験を適格とした。主要な有効性および安全性データも利用可能であった。.

データの抽出と合成

データは独立して収集された。レート比とハザード比、リスク比、平均差を95%信頼区間とともに計算するためにメタアナリシスを行った。エビデンスの質はGRADE(grading of recommendations assessment, development, and evaluation)法に従ってまとめた。

結果

21の臨床試験(19の論文)を解析した。3剤併用療法では長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)と長時間作用型β刺激薬(LABA)、吸入コルチコステロイド薬(ICS)が使用された。3剤併用療法は、LAMA単剤療法(レート比0.71、95%信頼区間0.60〜0.85)、LAMAとLABA併用(0.78、0.70〜0.88)、ICSとLABA併用(0.77、0.66〜0.91)と比較して、中等症または重症増悪の発生率が有意に低下していた。1秒量(FEV 1)の最低値およびQOLは、3剤併用療法で良好であった。3剤併用療法の安全性プロファイルは全体的に良好であるが、肺炎のリスクはLAMAとLABAの2剤併用療法よりも3剤併用療法の方が有意に高かった(相対リスク1.53、95%信頼区間1.25〜1.87)。

まとめ

進行期COPD患者において3剤併用療法は2剤併用療法や単剤療法よりも、中等症または重症のCOPD増悪率、肺機能の改善、健康関連QOLの改善をもたらした。

研究登録Prospero CRD42018077033