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COPDによる運動後息切れをスピリーバ®よりスピオルト®の方が改善

COPDを治療する上で重要な薬剤が2種類あります。いずれも吸入薬であり、一つは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、もう一つは長時間作用性β2刺激薬(LABA)です。両者ともCOPDによって狭くなった気管支を広げる作用があり、患者さんの呼吸機能、症状を改善する効果があります。両者の作用機序が異なるため、合剤にして同時に投与した方が効果があるのではないかと考え、製薬企業各社が新薬を最近上市してきています。

LAMA/LABA合剤とLAMA単剤の比較試験は今までも報告されていますが、今回紹介する論文では運動後の息切れについて検証しています。使用した薬剤は、LAMA/LABA合剤がチオトロピウム/オロダテロール(スピオルト)、LAMA単剤がチオトロピウム(スピリーバ)になります。中等症から重症のCOPD患者を対象(GOLD分類でstage 2が6割、stage 3が4割)に調べたところ、3分間歩行後の息切れは合剤を投与した方が改善されたという結果です。

Eur Respir J. 2019 Mar 28;53(3). pii: 1802049. doi: 10.1183/13993003.02049-2018.

論文要旨

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、チオトロピウム/オロダテロールがチオトロピウムと比較して活動関連の息切れを軽減させる効果があるかどうか、3分間の定速シャトルテスト(CSST)を用いて調査した。中等症から重症の呼吸機能障害と安静時の肺過膨張があり、Mahler基礎呼吸困難指数が8未満 のCOPD患者を対象に、無作為化、二重盲検、2つの期間のクロスオーバー試験を行った。患者は3週間の休薬期間後に、6週間のチオトロピウム/オロダテロール5/5 µgもしくはチオトロピウム単剤5 µgを無作為な順序で投与された。3分間CSST終了時に修正ボルグスケールが4以上の呼吸困難の強度(やや強い)に達するように、CSSTの速度が各患者について決定された。6週間後、チオトロピウム(平均 -0.968, 95%CI -1.238~-0.698; n=100)とチオトロピウム/オロダテロール(平均 −1.325, 95%CI −1.594~−1.056; n=101)の両群で、ベースラインから3分間CSST終了時に息切れ強度(ボルグ呼吸困難スコア)の減少を認めた。息切れの減少は統計学的に有意に大きかった(治療差 -0.357、95%CI -0.661~-0.053; p = 0.0217)。肺過膨張を示す中等症から重症COPDで息切れ症状を有するような患者では、チオトロピウム単剤よりもチオトロピウム/オロダテロールの方が活動関連の息切れを軽減させた。