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COPDの早期発見には自治体での肺機能検査が有効。

 COPDという病気がもつ大きな問題の一つは、その認知度の低さです。医師には馴染みのあるCOPDという病名も医療関係者以外の一般の方にはほとんど知られていません。そのため、自分は肺がんじゃないかと思ってクリニックを受診する方は多いのに対し、COPDじゃないかと思って受診する方はまずいません。また、呼吸器専門医以外の医師にとって、症状が咳しかないような患者さんの鑑別診断としてCOPDを挙げるのは難しいのです。

今回紹介する論文では、デンマークの8つ自治体(デンマーク人口の8%、43万人在住)においてCOPDを早期発見しようという試みをしています。著者らは、COPD以外の患者がいる病院やショッピングセンター、職場などで集会を催し、COPD発見プログラムを行いました。タバコを吸っている人または吸っていた人を対象に、咳や息切れなど呼吸器症状がないかをまず質問します。なにか一つでも症状があればその場で肺機能検査を行います。その結果、異常があればかかりつけ医受診を誘導します。いわば、「街角プチ肺健診」という感じでしょうか。

  合計1,499人の市民が検査を受け、そのうち約30%(456人)がCOPDと診断されました。COPDと診断された人の7割近くが中等症以上のCOPDであり、軽症COPDは約3割しかいませんでした。つまり、ショッピングセンターに買い物に来ていたような市民が集会にたまたま出くわし、検査してみたら中等症以上のCOPDだったという人がかなりいたことが想像できます。タバコのせいで咳と痰がでているだけだと思っている人も検査したら、COPDという立派な病気かもしれません。 

以下は論文要旨の和訳です。

Pulm Med. 2017;2017:7620397.

doi: 10.1155/2017/7620397. Epub 2017 Feb 20.

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期発見と疾患進行の予防は重要です。デンマークではCOPD症例の40%しか診断されていません。早期COPD症例を発見するために推奨される方法は確立されています。本研究では、デンマークの自治体におけるCOPDの早期発見について調査する。

方法

デンマークの8つの自治体が参加した。デンマークでCOPD発見のために推奨される条件、すなわち35歳以上で、喫煙者/元喫煙者/関連する職業上の曝露があり、少なくとも1つの呼吸器症状を満たす市民が肺機能測定に招待された。1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)<0.70であった市民は気道閉塞ありとして、かかりつけ医(GP)を紹介された。

 

結果

 1,499人の市民が検査を受けた(男性が53.6%、平均年齢57.2歳)。現喫煙者は44.8%、禁煙予定者は57%でした。市民が報告した気道症状のうちで最も多かったのは呼吸困難でした(71%)。FEV 1 / FVCの平均値は73.54%(SD 22.84)であった。 456人の市民(30.4%)が気道閉塞を示しており、さらなる診断のためにGPに紹介された。

結論

デンマークの自治体において行ったCOPD早期発見検査は効果的であり、およそ1/3の市民に気道閉塞が発見された。 COPD管理における一次介入として、自治体において症例発見検査を実施することは禁煙と同様に価値があるようです。