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低線量CTの所見と喫煙因子で肺癌が予測できるか

肺CT検診の問題として、CTは非常に感度が高いため、肺癌のみならず良性の肺結節が多数見つかってしまう点があります。CTで見つかる肺結節の96%は良性であり、放置してよいものです。

しかし、1回のCTでは良性とは診断確定できず、3か月毎にCTを撮って経過をみたり、良悪性をはっきりさせるために気管支鏡検査や手術をしたりします。その結果、良性であった場合、必要のない検査や手術をしてしまったことになります。

今回紹介する論文では3つの因子で肺癌を予測できると報告しています。つまり、禁煙してからの期間が短い程、肺結節の数が少ない程、肺結節に流入する血管の数が多い程、肺癌の可能性が高くなると言っています。

以下は論文要旨の和訳です。

Thorax. 2019 Mar 12. [Epub ahead of print]

はじめに

低線量CT(LDCT)は、早期肺癌診断のため、高リスク集団における肺癌スクリーニングに現在使用されている。しかし、結節が検出された症例の96%が偽陽性である。

 

方法

臨床的特徴や人口統計、LDCT所見から効率的な早期肺癌予測因子を開発するために、肺癌または良性肺結節を持つ計218人を研究対象とした。確率的図式モデル(PGM)を使用して、ピッツバーグ肺スクリーニング研究コホートから92人の被験者(訓練コホート)を対象に、人口統計および臨床データ、LDCT所見を統合した。

 

結果

学習済みPGMを用いて、直接的に(因果的に)、悪性結節および最大良性結節とつながる3つの変数を特定した。その変数を用いて肺癌原因モデル(LCCM)を構築し、別のコホート126人で検証した。

結節の数と血管の数、ならびに禁煙年数は、悪性腫瘍を良性結節と鑑別するのに十分であった。訓練コホートおよび検証コホートにおける既存の予測因子との比較により2つのことが示された。(1)LDCTの所見を組み込むことにより予測精度が大いに高まる。(2)Brock節約モデルを含む既存の方法よりも、LCCMにより癌の検出が改善する(p<0.001)。特に、周囲にある血管の数は、過去の予測モデルで使用されていなかったが、予測効率を有意に上昇させる。検証コホートの結果、LCCMは悪性結節を誤診する危険なく、良性結節の30%を同定することができる。

考察

LCCMは肺がんの予測モデルとして期待できる結果を示し、既存のモデルよりも有意に改善されている。大規模な前向き研究で検証されれば、不必要なフォローアップや検査を減らせるかもしれない。