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睡眠時無呼吸症候群とは その1 病態の説明

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているときに呼吸がとまってしまう病気のことをいいます。SAS (サス、Sleep Apnea Syndrome)と略されて呼ばれています。

SASはいびきをかく人に多い病気ですが、そもそもいびきはなぜかくのでしょうか。

ヒトは呼吸をするとき、通常、鼻から空気を吸います。その空気はノド、声帯、気管を通って肺に入ります。仰向けで眠って筋肉が脱力してくると、舌根(ぜっこん; 舌の最も奥)や口蓋垂(こうがいすい; いわゆる“のどちんこ”)、軟口蓋(なんこうがい; 口腔内の上後方)がノドの方に落ちてしまい、空気の通り道が狭くなります。その狭い隙間を空気が通る度に振るえて音が鳴るようになります。これがイビキです。

 

SASではない健常な人でも、飲酒後など筋肉が脱力しやすい状態になるとイビキをかきやすくなります。しかし、SAS患者さんでは、肥満や顎が小さいといった理由でもともと空気の通り道が狭くなっており、仰向けで眠っただけでイビキをかいてしまうのです

 

そして、舌根と軟口蓋の落ち方がひどくなり、完全に空気の通り道がふさがり呼吸が止まってしまうと、イビキもかかなくなります。家族など周りの人は、イビキが止まって急に静かになったと思ったら、ちゃんと呼吸をしているか観察してください。

睡眠時無呼吸症候群とは その1 病態の説明

じっと観察していると、呼吸はずっと止まっているわけではなく、数十秒後に呼吸を再開します。息が苦しくなると睡眠が浅くなりますので、舌根と軟口蓋が持ち上がり閉塞がとれるためです。このように「息が止まったり、息を吹き返したり」を眠っている間、ずっと繰り返します。完全に目が覚めるわけではないので本人は気付いていません。これが睡眠時無呼吸症候群です。

 

眠っているときに呼吸が10秒以上止まっていることを睡眠時無呼吸と呼び、1時間あたり5回以上の無呼吸があるとSASと診断します。重症のSASの患者さんでは、1時間に40回以上も呼吸がとまり、一回の呼吸停止が一分間以上となることもあります。

試しに1分間呼吸を止めてみてください。苦しくなってまず止めていられないと思います。重症のSASの患者さんでは毎晩眠っている間にそれ位呼吸が止まっているのです。

 

眠っている間に呼吸が止まっても、自分で気付くことができません。そのため、家族の方にいびきや無呼吸を指摘され、受診されるケースが大半です。一人で寝ている方の場合はなかなか見つからず、診断されていない患者さんが多数いることが想定されます。